Produce & Piano & keyboards
/ 「Tell me A bed time Story」
(Produce & Piano & keyboards)
07/9/19[WED]発売
定価 \2,500(JPY)

Manufactured by :
Isol Discuss Organization
Distributed by :
Universal Music.
Personal:
Eriko Akiya(P)
Lew Soloff(Trp)
Mark Egan(B)
Joel Rosenblatt(Dr)
Dan Gottlieb(Dr)
Lionel Loueke(Gt)
今のNYシーンを、かつてないほどインターナショナルで、かつ斬新な組み合わせでレコーディングするのがこのシリーズのおもしろいところ。

第1弾は、フィリップ・セス(P)のトリオにパット・メセニーグループや、マーカス・ミラーバンドに参加しているスイス出身のハーモニカ、グレゴア・マレットを加えたアルバムが4/18にリリースされた。

そして、第2弾として、「プロデュースと演奏」で参加させてもらったのがこの新譜です。こちらは、2つのカルテットがスタンダードをどう料理したのか、を堪能して頂ける作品です。そして共演の面々の組み合わせが斬新で凄いです!(笑)。05’暮れのレコーディングチームは、マイルス亡き後、東海岸を代表すると言われるベテラントランペッターのルー・ソロフ(Tp)。 MJQからチャカ・カーンまで、あらゆるNYのスタジオシーンを総なめにしてきた人。また、ルーとギル・エヴァンスのビッグバンドで永年の演奏を伴にした、元パット・メセニーグループ、スティングでグラミー・アワード獲得のマーク・イーガン(B)。そしてスパイロ・ジャイロ、ミッツェル・カミロ(P)初期のドラマーであり、若い頃はウェックル(Dr)とルームメイトで、腕を磨きあったドラムテクに定評のある若手、ジョエル・ローゼンブラッド(Dr)。

06’4月に急遽もう3曲ほど入れる事になったチームの方もまた素晴らしい。 ハービー・ハンコック(P)のレギュラーのギターリストでアフリカ出身のリオネル・ルエケ(G)、とマークの永年の相棒、パット・メセニーグループの、ダニー・ゴットリーブ(Dr)。

国籍も生い立ちも年齢も全く違う、初対面同志のインタープレイがこんなに美しく交わっているのも、ジャズと言う芸術ならではの凄いところだと実感しました。
【1.A Night In Tunisia】
2曲目に演奏。ラテンと4ビートを得意とするジョエル、何万回と吹いたであろうルーのウォーム・アップを兼ねて選曲。思ったとおり「ど迫力=フルパワー」でやって来た。私のソロの途中に少し物語がほしいなぁ?と1コーラス最後の「A」で落してメローな事を弾くと、 メロディーメーカーのマークが見逃す筈もなく独特のラインを奏でた。
(゜-゜)イエイ
最後に遠くにいるルーに見えるよう、キュー出しで思いっきり頭を下げたらヘッドホーンが ブッ飛んで低音に落ちた!しまった!と思ったら、皆が大爆笑した。ここから一気に和んだのです。人生何が功を奏するかわからないものだ。ハハッ…。
【2.Movin' Wes】
ギターリストWesのGのブルース。先入観のないギター外の楽器同志でやったらどうなるか?ずっとやってみたかった。何とも不思議でタイトなラテン&エスニックチック、フュージョンになった。(笑)
全員でソロを回すから、私は短くとサポートに回った。マイルス・バンド時代(All Blues)のハンコックみたいに内容は濃いけど脇役に徹したかった。ジョエル気合いの一発目でルーがシャンとした。 案の定ルーとジョエルで暴れてくれた!彼等はこの曲の「音」の中で、さっきの親子ケンカの和解をした様だった。ジョエルは最後ルーにニコニコと笑いかけていた。2人の後半の演奏を聞いて頂きたい('-^*)ok
【3.Blue In Green】
②のセッション。何の会話もなく数回弾いたけれど、それぞれが素晴らしくてどのテイクにするか皆迷った。
最後のテイクの直前で「水の上に、グリーンの絵の具とブルーの絵の具を落した感じをイメージしてるの、たぶん私がBlueかなぁ~」とリオネルに言ったら「That's exactly what I feel, Eriko !」とリオネルが微笑み、マークもやさしい笑顔でうなずき、ダニ-も「I agree !」とドラムの前でウィンクした。
こう言うのやらせたら、ダニ-ほどソロイストを美しく輝かせるドラマーを私は知らない。
日本の織物みたいに「音をつむぐ」。きれい…。§^。^§
【4.Blue Bossa】
全ての中における1曲目。ルーの唇がダメになる前に、彼が得意のナンバー&一番テクニック的に難解のものを選んで裏目に出た。
始まってすぐ録音状態や音質はこれでいいのか?と、即座にルーが私の元にやってきた。ジョエルはそんなルーに「音質じゃなく実力で示せ!」とか男のジャブ一発を言った。
(-_-;)ウッ…。
ジョエルは19才までトランペッタ-だったから厳しい。2回演奏して全員がモニタールームで聞いた後、ルーが「Erikoの一発目のソロの気迫が好きだからこっちにしよう!しかしお前のアレンジは難解だな!」とルーが言い、「いい刺激&いいチャレンジになる。」と横でジョエル兄さんが微笑んだ。かなり難解で、アップテンポの中での演奏を聞いて頂きたい。しかも全員初見。ジョエルの中間のソロもかなり難解ですの。
オッホッホー。
【5.In A Sentimental Mood】
全員がスタンダードのバラ-ドの中で圧倒的に好き!または思い出深い曲と賛成してくれた選曲。
「出来るだけ静かにね。京都のお寺みたいな感じ。」と言ったら全員が「OK!」と微笑んでくれた。 マークの歌うソロを聞いて頂きたい。また、あとテーマでのルーのメロフェイクに微笑んでしまった。経験値の深さにやられたぁ。素敵!
ルーにはMuteでお願いした。「フルーゲルじゃなくて?」と何度も聞かれたけれど…。「いや、どうしてもミュートで。」私が始めて聞いたスタンダードでetc…、と話してお願いした。
いかがでしょう?ルーのミュートは?
【6.La Fiesta】
全体の3曲目に演奏の曲。
ルーは「メロディーはとった事はないが曲は知ってるから大丈夫!」と言って流石の初見力でサッと1テイクで録った。全員合ってきたかしら?とリラックスして1回録り終わった思った直後、マークに「Eriko, You have "Perfect Pitch" ?」と聞かれ「Almost…」と答えると、その横からルーが「Yeah ! Your play tells ! Nice harmony & Nice comping. Thank you !」と誉めてくれて、全員がすっかり和んできた曲。
「音」を通しての全員の会話を聞いて頂きたい。
【7.How Insensitove】
「瞑想セッション」の1曲目。
始めましての挨拶後、「イントロ・エンディングは?」とマークとリオネルに聞かれ、その場で思い浮かんだものを提示&「OK~!」で始めただけなのに驚いた! 全員が何年も知ってるかのごとくブレンドした。ツルンと続けて3テイク録り、 どれにするか迷ったけれど、全員このエンディングがキュートだとの事。皆で耳を済ませ、私が出した6連のフレーズにマークがボナがよくやるハーモニックスの様な(?)音色で続き、リオネルもダニ-も一瞬にして続き、雨だれの様に音が数珠つなぎに。まさにこの2人のリズムセクションはインタープレイのエクスパートだと感動した。
後でリオネル曰く、ボナより昔からマークが発案していた奏法らしい。この3人とのセッションは、大自然に包まれるような「時の芸術」を満喫する連続でした。
ありがとう!
【8.Tu Tu】
マイルス亡き後、東海岸を代表するトランペッタ-のルーにModeのこの曲を やってみてほしかった為の選曲。14時から音を出し一番最後にこの曲を予定していた。
で、ルーが突然歩み寄ってきて、「18時前には出ないと夜のGIGに間に合わない!もっと演奏していたいのに!Tu Tuやるのか?」と…。全員なぬ~?!(゜ロ)と、エンディングも決めずに1回だけ慌わただしく回したテイク。全員使わないと思っていたみたい。が、そこは無駄なゴミを出したくない「ECOな秋谷」は後で薄くシンセをかぶせて皆様のお耳にかかるようになった。流石のルーを聞いて頂きたい(微笑)。
後日Mr.ハンコックにお会いした時「僕も最近ジョージ・ベンソンのCDでこの曲1曲のみ参加したよ。難解だね!君はどんなアプローチ方法があると思う?」と聞かれいくつか自分なりの考えをお話した。
その後CDで彼の演奏を聞いて赤面した。凄過ぎた(゜ロ)ギャッ、経験値が…。何も考えていない、無駄な音は1つもなし。「無心」。
「じぇんじぇんまだまだだぁ~」と痛感した。
【9.Tell Me A Bed Time Story】
「瞑想セッション」の最後の曲。全員大好き!との事で満場一致、恐れ多くもハービーの曲を演奏するハメになった。
私がスタジオにあるRhoseで行こうかな~?と迷いつつ弾いていたらリオネルが「オッ?!」って嬉しそうに横目で見て、エフェクトを取り出し昔のマクラフリンみたいな音で演奏し始めた。私が「虫の音みたい!何使ってるのぉ~?」ってクスクス笑って聞いたら、「そうかな?ただのハーモナイザー」と微笑んだ。彼は指&爪ピッキングだけど、ピッキングが強いから世にもありえないサウンドになる(笑)素晴らしいリズム感覚。流石、元パーカッショニストぉ~!
1テイク目の後「難しくてセッション曲じゃないなー!」と全員で苦笑。ハービーにもその話しをしたら、大笑いして「I agree!」と笑っていた。けど…あなたが書いた曲ですから。
日本に戻って多くの人が、これが一番イイ!とか言うのでこれも入れる事になった。ダニ-の最後のドラムソロ、あまりに繊細で、凄くて、素敵で永遠に聞いていたかった。(^^)v
*①のセッション。外は大雪の日でした。 皆がほんとに嬉しそうで幸せでした。
ルーは「Eriko6月に日本で会おう。もう僕は行かなきゃ」って焦らせてごめんね~! あとで間に合ったヨ!とメール貰いましたが。
このプロジェクトを始めるにあたって、数ヶ月ほど全参加ミュージシャンの音を聴きあさりました。この豪華な参加プレーヤー達を生かせきる「アレンジ」や「選曲」の事だけを考えて毎日を送りました(^^;)。出かける間際に別件で小曽根氏に「いい年してビビッてる自分が情けなくて~!」とメールしたら、「これで世界のトッププレイヤーの仲間入りだね!えりちゃんなら大丈夫だから楽しんでおいでヨ!」と最も信頼する長年の友人であり、世界のピアニスト小曽根氏が背中を押してくれて、単純な私はN.Yに上機嫌で向かったのでした。そして案の定、トップミュージシャン達と音を通しての素晴らしい会話、今までの人生の中で最も幸せに満ちた時間が始まったのです。
ルー、ジョエル、マークとのセッションを=①「God Father兄さん達とのセッション」。リオネル、ダニー、マークとのセッションを=②「瞑想セッション」と名づけました(笑)。

ドラマー2人はそれぞれのスタジオにある名もないポンコツ(失礼!)ドラムを使った。ジョエルに「バスドラ小ちゃくない?車にあるなら運ぶの手伝うヨ」と聞いたら「JazzだからこのぐらいがOK。明日のフュージョンの時は運ぶから。」といい、ダニ-はマイアミの自宅から前日やって来て「えりこがメールくれたとおり、電話で問い合わせて使い慣れてるものだと確認済みだよ。心配しないで大丈夫!ありがと。」と言った。その結果がこの演奏だから2人の底力がおわかりと思う。ダニーはお誕生日でケーキでサプライズした。「去年はBill Evanceのレコーディング、今年はえりこだ。嬉しいね。感謝してるよ!」って、全員がセッションを心から楽しんでくれた事が何よりも嬉しかった。
今もジョエルとマークは1、2週間に1度はメールでやりとりする、良きお兄ちゃん達だ。ルーは時々突然メールをくれるし(笑)、リオネルも日本に来る時にはメールをくれる。そして、ダニーは世界中の生徒の質問に答えるのに大忙しなはずなのに、私のお誕生日28日に、数ヶ月に1回気が付くとメールが届いている(そんなに年とりたくないけど(笑))。
「音」を通してすっかり仲良しになった(笑)。
みんな素敵な演奏をありがと!!!
   ♪Eriko